FIT/FIP支援重点化(事業用太陽光・地上設置)に関する公開質問

― 「地域共生」の線引きは、土地の所有者ではなく設備の性能で ―

経済産業省は、事業用太陽光(地上設置)について2027年度以降の新規支援を終了し、例外として「地域共生型」の類型のみを支援する方針を示している。しかし、その線引きは設備の安全性や地域への実際の影響ではなく、土地の所有者と行政関与の有無によって行われており、国自身が示した評価軸とも整合しない。弊社は、この方針が既存の適法事業と将来の分散型電源に及ぼす影響について、資源エネルギー庁に以下の公開質問を行う。回答は全文を本記事に掲載し、その内容を継続して検証する。

執筆: 益田 周防海(Suomi Masuda)/株式会社I-S3 | 公開: 2026年10月13日 | 宛先: 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 | ステータス: 送付済み(2026年10月13日・資源エネルギー庁 ご意見・お問合せフォーム)/回答期限 2026年11月12日 | 読了目安 25分

17項目の公開質問 決定済みの事実 国の案と対案の比較 法的枠組みと今後の対応 解説動画(約10分)

回答待ち 2026年10月13日に資源エネルギー庁の公式お問合せフォーム(種別「ご質問」)から送付した。回答期限は送付日から30日の2026年11月12日。回答・未回答・回答拒否のいずれも、日付とともに全文を本記事に掲載する。期限までに回答のない項目は「回答なし」として記録する。

解説動画(約10分)

YouTube: 動画ページ / 再生リスト(公開質問と検証の記録)

1. 決定済みの事実

本記事の土台になる事実を、一次資料の頁番号つきで示す。頁番号は各資料に印字された番号(資料Dの別紙は別紙内の番号)である。資料の略号は出典一覧に対応する。

1-1. 地上設置の新規支援は、終了が決定済みである

1-2. 今回の検討は、例外として残す類型を選ぶものである

1-3. 国自身が示している数字

1-4. 現行制度と既存事業の扱い

1-5. 安全対策の方式と、事業主体への施策

以上はすべて、国が自ら公表した資料に書かれている。以下では、これらの事実の間にある不一致を示し、資源エネルギー庁に説明を求める。

2. 国の「一定の考え方」と事務局案の要約

反論の前に、国の論理を最も強い形で正確に要約する。

2-1. 類型を選ぶ「一定の考え方」(資料A p.4)

支援重点化に相応しい類型は、次の①〜③をすべて満たすものとされる。

  1. 今後の導入:導入ポテンシャルの推計やエネルギー基本計画上の位置づけから、再エネ導入拡大の観点で重要な類型であること。
  2. 地域との共生:次のいずれかを満たすこと。
    • a:新たな土地開発を伴わず、従前の土地利用も大きく転換されないことで、安全面・防災面・景観・環境等の公益への追加的な影響の度合いが小さい類型。
    • b:事業実施期間を通じた自治体や国の事業への関与によって、首長や議会の承認といった地域における理解醸成プロセスを経ることに加え、事業実施期間を通じた一定の監督が担保され、不適切な事業運営が生じた場合には改善を促すことのできる類型。
  3. FIT/FIP制度の特性等:客観的な基準・証憑で明確に外延を画定・確認できる類型であり、逆潮流量の売電が想定される類型であること。

2-2. 第5回(2026年9月30日)の事務局案(資料A p.5〜16)

区分類型国の整理頁
支援対象とする国・自治体所有の土地貸付・地上権設定または国・自治体自らの実施に限る(bを満たす)。売却地は監督が及ばなくなるおそれがあるため対象外。自治会所有のため池は首長・議会の承認を経ないためbを満たさない。p.5
温対法の地域脱炭素化促進事業計画の認定事業市町村の指導・助言・認定取消しがあるためbを満たす。促進区域内であるだけでは不十分。農山漁村再エネ法の設備整備計画の認定も同じ扱い。p.6
ソーラーカーポート駐車場の上部空間を使うためaを満たす。検査済証・写真・図面で確認。p.9
インフラ空間(空港・道路・鉄道・港湾等)既に整備された土地で、インフラの機能維持が制度上の前提のためaを満たす。p.10
支援対象としない地域新電力・自治体や地元事業者への供給・基金地域経済への貢献は、安全面・防災面等の問題の発生を抑制するものではなくaを満たさない。契約や基金での関与は監督・是正の仕組みにならずbも満たさない。p.11
災害時における電力供給同上。「地域にもたらされる便益を客観的な基準として採用することには課題があり、設備の設置場所・設置形態等の要素に基づき」選定すべき。p.11
工業団地・商業施設等の敷地内土地開発は伴わないが、従前の土地利用が大きく転換されないことを担保できずaを満たさない。統一的な定義がなく外延を画せない。p.15
ゴルフ場跡地等の未利用地、耕作放棄地・荒廃農地伐採・表土除去・整地・排水施設の新設等が行われる「可能性」がありaを満たさない。公的証憑がなく外延を画せない。p.16
先送り営農型太陽光発電農林水産省の制度改正の施行を優先し、次年度以降に引き続き検討。p.12

この整理の帰結として、民有地の地上設置は、土地が誰のものであっても、認定を受けた計画の中に入らないかぎり、設計内容や違反歴にかかわらず支援対象外となる。国は、この帰結を意図しているのか。意図していないのであれば、どのように防ぐのか。これが本記事の問いの出発点である。

3. 論点 ― 評価軸と選別方法は一致していない

主題:「地域共生」の線引きは、事業主体・土地の所有者・書類上の類型ではなく、設備と設計の性能で行うべきである。関係法令を守っている既存の事業に、後から不利益を課してはならない。

予想される反論国の側からは、「将来の補助金は事業者の権利ではなく、新規支援の範囲をどう定めるかは政策裁量である」という反論が予想される。弊社はこの前提そのものを争わない。争うのは、裁量の行使が、国自身が示した評価軸(資料A p.4)との一貫性と、合理的根拠を欠いている点である。以下、7点に分けて示す。

3-1. 系統への供給そのものが、法の目的とする地域への貢献である

再エネ特措法第1条は、再生可能エネルギー電気の供給を促進することにより「地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与すること」を法の目的としている(条文)。系統へ電気を供給する地上設置の発電所は、この目的に沿って設置され、法に基づく認定を受けてきた。

事務局案は、屋根設置には系統供給以外の地域貢献を求めていない。屋根設置は「地域共生が図られた類型の代表格」とされ(資料A p.2)、その理由は追加的な影響が小さいことであって、地域への追加的な貢献があることではない(資料A p.39)。一方、地上設置には、公有地・認定計画・インフラ空間という「貢献または監督」の要素を求める。屋根と地上とで、系統供給という貢献に差はない。差があるのは影響の大きさであるなら、評価すべきは影響そのもの(造成の有無、立地、設計、違反歴)であって、土地の所有者ではない。この点は質問5で問う。

3-2. 評価軸は「リスクと監督」なのに、選別は「所有者と書類」で行われている

資料A p.4の②aは「公益への追加的な影響の度合いが小さい」こと、②bは「監督が担保され、不適切な事業運営が生じた場合には改善を促すことができる」ことを求める。つまり国の評価軸は、実質的にリスクの大きさと、リスクが顕在化したときの是正手段である。

ところが実際の当てはめは、公有地であること、認定計画の中にあること、インフラ用地であることという、土地の所有者と書類上の類型で行われている。造成を伴わない設計か、盛土があるか、排水を変えるか、過去に法令違反があるかは、どの類型の判定にも使われていない。未利用地と荒廃農地が外されたのは、伐採や整地が「行われる可能性がある」からであって(資料A p.16)、行われるからではない。

基準bの下では、地元の個人や中小企業が、自分の土地で、関係法令をすべて守り、説明会を開き、廃棄費用を積み立てて行う事業は、構造上どうやっても「共生型」になり得ない。首長や議会の承認を経る経路が、民有地の個人事業には存在しないからである。国はこの帰結を意図しているのか。意図していないのであれば、どう防ぐのか(質問6)。

3-3. リスクのある土地は、設計次第で太陽光に最も向く

立地のリスクは二つに分けて考える必要がある。被災リスク(その土地が浸水・土砂・強風などの被害を受けるリスク)と、誘発リスク(設置工事や設備が周辺に被害を及ぼすリスク)である。資料A p.4の②aが問題にしているのは後者、すなわち「追加的な影響」である。

造成・盛土・伐採・排水変更を伴わない設計であれば、誘発リスクは増えない。そのうえで被災リスクだけが高い土地、たとえば浸水想定区域や住宅に向かない低地は、無人で、人が常駐せず、損害が設備所有者に閉じる太陽光発電の合理的な使い道である。住宅や有人施設を建てられない土地を、追加的な影響なしに発電に使うことは、②aの趣旨に反しない。

浸水時の直流側のリスクは、機器の設置高さと遮断機能で管理できる。弊社は、成田市で2026年9月に起きた冠水後の接続箱火災を題材に、接続箱の下端高さ(集中型で地盤から0.5〜1.0m程度)と浸水深の関係、水没した接続箱の絶縁抵抗が洗浄・乾燥後も戻らないという水没実験の結果、そして想定浸水深が3mを超える場所では機器の高さでは逃げられず「遠隔で直流を切れること」が設計の中心になることを整理した(成田市大竹の接続箱火災から考える、セントラルパワコンを替える理由)。立地の被災リスクは、設計図書と機器仕様で管理可能な変数であり、一律に対象外とする理由にはならない(質問8)。

3-4. 電気的安全は、事業者の規律ではなく設備の性能基準で担保すべきである

対策パッケージは、構造については「10kW以上の全設備に第三者機関による技術基準適合確認」という設備基準型の規制を導入する(資料C p.3)。これは、誰が事業者かではなく、設備が基準を満たすかで安全を担保する方式であり、弊社はこの方向を支持する。

ところが電気的安全、すなわち火災・浸水時の感電と延焼については、同じ方式が採られていない。パワーコンディショナを停止しても、日射があるかぎり直流配線には数百ボルトが残る。停止操作の後に直流電圧を一定時間内に一定値以下へ下げるという性能要求は、国内の電気設備技術基準・同解釈に存在しない(弊社記事 第12節・第14節)。この状態で国が電気的安全のために用意しているのは、説明会の義務づけと、違反時の交付金一時停止という事業者規律である(資料A p.28・p.38)。

ラピッドシャットダウンに相当する性能基準(停止後○秒以内に○V以下)を、設置形態と設置主体を問わず義務化するほうが、主体による選別よりも直接にリスクを下げる。しかも、支援重点化の「代表格」とされる屋根設置こそ、建物火災時に消防隊員と居住者が直流活線に接近する可能性が最も高い。屋根設置について国は「安全上の影響が及び得る範囲は当該屋根の建物を使用する者に限定される」と整理している(資料A p.42)が、建物を使用する者に影響が及ぶこと自体が、性能基準を要する理由である。構造には設備基準を入れ、電気的安全には入れないのは一貫しない(質問9)。

3-5. レジリエンスは客観的に評価できる

事務局案は、災害時の電力供給について「地域にもたらされる便益を客観的な基準として採用することには課題があり」として対象外とした(資料A p.11)。しかし同じ資料の同じ頁の注は、現行の低圧FITが「災害時に利活用が可能であること」を地域活用要件として既に運用していると書いている。その中身は「災害時のブラックスタートが可能であることを前提とした上で、給電用コンセントを有し、当該給電用コンセントの災害時の利活用が可能であること」(資料A p.42、資料E p.41)であり、これは機器の機能で確認できる客観基準である。国は、自分で運用している客観基準を、「客観的な基準として採用することには課題」と評価したことになる。

災害時の供給能力は、次の項目で仕様書・型式認証・試験成績書から確認できる。

「平常時は系統へ供給し、非常時は自立して地域へ供給する」ハイブリッド設計を支援類型として設け、上の項目を認定基準とすることは、資料A p.4の③(客観的な基準・証憑で外延を画定できる、逆潮流がある)を満たす。あわせて、系統連系規程に計画的単独運転の制度を整備することを求める。弊社は、広域に接続されていることと広域から一括で制御されることは別であり、その場の物理量を測って自律的に動く電源が系統の信頼度を下げないという設計思想を、別記事で論じている(広域接続は広域制御を要求しない、分散型電源時代の本当のレジリエンスとは何か、負荷等価型・自律レジリエンスアーキテクチャ(LEAA))。災害時供給を「客観的に評価できない」とした根拠を示されたい(質問7)。

3-6. 「自立化した」という判断は、低圧には当てはまらない

支援対象外の根拠は、コスト低減、入札上限を下回る落札、PPA案件の出現である(資料D p.19–20)。しかし入札は250kW以上を対象としており(資料E p.12)、落札価格の低下は250kW以上の競争の結果である。PPAによる案件形成も、需要家が直接契約する規模帯で起きている。

国自身の想定値では、2026年度のシステム費用は低圧(10kW以上50kW未満)17.8万円/kW、50kW以上11.3万円/kWで、低圧は約6割高い(資料D p.13・p.16)。直近の定期報告データでも、10kW以上の上位36%水準15.8万円/kWは、50kW以上の12.9万円/kWを上回る(資料D p.13)。国は「全ての規模において」コスト低減が実現したと書いているが、低減したことと、FIT/FIPがなくても新規投資が進む水準(資料D p.7が制度の前提とする「自立化」)に達したことは別である。低圧単独で自立化を判断した分析があるのか、ないのか(質問4)。

3-7. 既存の適法事業への後付けの不利益を、明示的に禁じるべきである

今回の制度変更は新規認定の範囲を定めるものとされているが、既存の認定事業に波及する箇所が既に資料の中に見える。

法令を守って認定を受け、20年の調達期間を前提に投資した事業者に対し、後から類型を理由に条件を変えることは、憲法第29条の財産権、信頼保護、法的安定性の問題を生じさせる(第6節)。弊社は、この点についての確約を求める。

4. 国の事務局案と弊社の対案の比較

国の事務局案と、本記事で示す性能基準による対案を、同じ5つの軸で並べる。対案の各項目は、資料A p.4の①〜③を満たすように設計している。満たさないとする場合は、どの項目がどの要件を満たさないのかを質問15で求める。

軸国の事務局案(資料A p.5〜16)弊社の対案
判断軸 土地の所有者(国・自治体)、行政の関与(認定計画)、書類上の類型(カーポート・インフラ空間)。 設備と設計の性能。①誘発リスクを増やさない設計、②電気的安全の性能、③自立供給能力。事業主体と土地の所有者は問わない。
土地 公有地(貸付・地上権)、促進区域の認定事業、カーポート、インフラ空間。民有地の地上設置は、設計・違反歴にかかわらず対象外。被災リスクと誘発リスクを区別しない。 造成・盛土・伐採・排水変更を伴わないことを設計図書で確認。被災リスクのみが高い土地(浸水想定区域等)は、機器高さと遠隔遮断を条件に対象。誘発リスクを増やす工事を伴う案件は対象外。
安全 構造は第三者機関の技術基準適合確認(設備基準)。電気的安全は説明会・交付金一時停止という事業者規律に依存。停止後の直流電圧の要求なし。 構造に加え、電気的安全も設備基準に。停止後○秒以内に○V以下の性能基準を、屋根設置を含む全設置形態に義務化。方式は問わない。引渡し時に停止後電圧の実測値を記録。
地域貢献 系統供給は貢献として評価しない。地元供給・基金・災害時供給は「客観的な基準として採用することには課題」として対象外。 系統供給を法第1条どおり貢献と評価。災害時供給は、グリッドフォーミング・ブラックスタート・自立運転容量・蓄電容量・計画的単独運転への対応を仕様で評価し、ハイブリッド設計を支援類型に加える。
確認方法 登記事項証明書、公有財産台帳、使用権原の契約書、認定書、建築基準法の検査済証、写真・図面。 設計図書(造成・排水計画の有無)、機器の型式認証・試験成績書(停止後電圧、GFM、ブラックスタート、自立運転容量)、引渡し時と定期点検時の実測記録。いずれも第三者が検証できる書類。

対案は、国が屋根設置で既に運用している「固有の認定基準と提出書類で外延を画定する」方法(資料A p.40・p.42)を、土地の種類ではなく設備の性能に適用したものである。確認に用いる書類の種類が増えるだけで、「客観的な基準・証憑で確認できる」という③の要件は損なわれない。

5. 公開質問(A〜E、17項目)

資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課に対し、以下を質問する。各項目は、はい/いいえ、数値、または記録の有無で答えられる形にしている。2026年10月13日に送付済み。回答期限は送付日から30日の2026年11月12日とし、回答・未回答・回答拒否のいずれも、日付とともに全文を本記事に掲載する。期限までに回答のない項目は「回答なし」として記録する。

A. 根拠

質問 1 規模別の負の外部性データ

低圧(10kW以上50kW未満)・高圧・特別高圧の規模別に、負の外部性(事故・関係法令違反・苦情)の発生率を示すデータを示されたい。

  • 対策パッケージの名称が「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」であるにもかかわらず、10kW以上50kW未満までを一律に支援対象外とした根拠を示されたい。
  • 支援対象外の範囲を規模で区別することを検討した記録の有無と、あればその内容を示されたい。

根拠:資料C 表題、資料D p.19–20(「指摘がなされる状況」が根拠とされ、規模別のデータは示されていない)。

質問 2 428件の分母

関係法令違反による交付金一時停止の累計428件は、FIT/FIP認定件数に対して何%か。その水準で、低圧の地上設置を一律に対象外とした合理性を示されたい。あわせて、428件の規模別(低圧・高圧・特別高圧)の内訳を示されたい。

根拠:資料B p.18(累計428件、うち5件解除。分母と規模別内訳の記載なし)。

質問 3 決定後に実施する実態調査の目的

支援対象外の決定(2026年2月の意見取りまとめ、同3月の省令・告示公布)の後に、「地域共生型太陽光発電の導入実態等に関するアンケート調査」を実施する目的を示されたい。

  • 調査結果によって、地上設置を一律に対象外とする決定を見直す可能性の有無を示されたい。
  • 類型別・規模別の問題発生率を含む集計結果を公開するか。公開する場合、その時期と形式を示されたい。

根拠:資料G(調査目的・対象・期限)、資料A p.18、資料D p.20。

質問 4 低圧単独の自立化分析

低圧(10kW以上50kW未満)のシステム費用の想定値は17.8万円/kWで、50kW以上の11.3万円/kWより約6割高い。それにもかかわらず低圧を含めて「FIT/FIP制度がない状態でも新規の電源投資が進展する」水準に達したと判断した、低圧単独のコスト・収益性分析の有無と内容を示されたい。入札上限を下回る落札(250kW以上)とPPA案件の形成を、低圧の自立化の根拠とした理由もあわせて示されたい。

根拠:資料D p.7(自立化の定義)、p.13・p.16・別紙 p.2(想定値)、p.19–20(判断理由)、資料E p.12(入札対象 250kW以上)。

B. 基準の一貫性

質問 5 系統供給は地域への貢献ではないのか

再エネ特措法第1条は、再生可能エネルギー電気の供給の促進を通じて「地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的としている。系統への電力供給それ自体を地域への貢献と評価しない理由と、その法的根拠を示されたい。

  • 屋根設置には系統供給以外の地域貢献を求めず、地上設置にのみ求める根拠を示されたい。

根拠:再エネ特措法第1条、資料A p.2・p.39・p.42。

質問 6 地元の個人・中小企業は「共生型」になり得ない

基準bの下では、地元の個人・中小企業が自己の土地で行う適法な事業は、首長や議会の承認を経る経路がないため、構造上「共生型」になり得ない。これは意図した帰結か。意図していないのであれば、この帰結をどのように防ぐのかを示されたい。

根拠:資料A p.4(基準b)、p.5(売却地の除外、ため池の注)、p.15–16(民有地類型の除外)。

質問 7 自分で運用している客観基準を「課題がある」とした根拠

現行の低圧FITの地域活用要件(災害時のブラックスタートが可能であること、給電用コンセントの災害時の利活用が可能であること)は、機器の機能で確認できる客観基準として既に運用されている。それにもかかわらず、災害時の電力供給を「客観的な基準として採用することには課題」とした根拠を示されたい。

  • グリッドフォーミング機能、ブラックスタート、自立運転容量、蓄電容量、計画的単独運転への対応といった仕様に基づく類型化を検討しない理由を示されたい。検討した記録があれば示されたい。

根拠:資料A p.11(本文と注)、p.42、資料E p.41。

質問 8 誘発リスクのない設計を、立地だけで外す合理性

造成・盛土・伐採・排水変更を伴わないことが設計図書で確認できる案件について、立地の被災リスクのみを理由に対象外とする合理性を示されたい。基準aが問題とする「公益への追加的な影響」は、設計で確認できる誘発リスクではないのか。

根拠:資料A p.4(基準a)、p.16(「行われる可能性」を理由とする除外)。

C. 安全

質問 9 電気的安全に有効なのは、主体の選別か、設備の性能基準か

電気的安全(火災・浸水時の感電・延焼)について、次の二つのどちらがリスク低減に有効と評価しているかを示されたい。

  • 設置主体や類型による選別
  • 停止後の直流電圧を一定時間内に一定値以下にする設備性能基準(ラピッドシャットダウン相当)の義務化

構造には第三者機関による技術基準適合確認を導入する一方で、電気的安全の性能基準を、屋根設置を含めて検討しない理由をあわせて示されたい。

根拠:資料C p.3、資料A p.28・p.38・p.42、弊社記事「PCSを止めても太陽光発電は止まらない」第12節・第14節。

D. 既存の適法事業

質問 10 増設分に適用される価格

2027年度以降、地上設置の既存設備を増設・パネル更新した場合に、増えた出力分に適用される調達価格/基準価格を示されたい。

  • 適用される価格が存在しない場合、メンテナンス・リパワリングを含む適切な事業実施を促す長期安定適格太陽光発電事業者制度と矛盾しない理由を示されたい。

根拠:資料D 別紙 p.2・p.3(※)、別紙 p.3 注6、資料C p.6。

質問 11 後付けの不利益変更をしないことの確約

関係法令を遵守している既存の認定事業について、支援重点化の類型への該当性を理由に、次の事項を事後的に不利益に変更しないことを確約されたい。確約できない事項があれば、その事項と理由を示されたい。

  • 調達条件(調達価格・基準価格・調達期間・交付期間)
  • 出力制御の順番
  • 変更認定の要件
  • FIP移行の条件
  • 交付金の扱い

根拠:資料D p.98(変更認定の価格運用)、p.99(FIP移行)、資料A p.41(今後検討する制度的論点)。

質問 12 事業集約と法定外税

「地域の信頼を得られる責任ある主体への事業集約の促進」は、小規模事業者の退出を政策目標とする趣旨か。

  • 適法に稼働中の設備に対する自治体の法定外税を、国は容認・推奨する立場か。再エネ地域共生連絡会議で法定外税の事例を共有する目的を示されたい。

根拠:資料C p.6、p.4。

E. 手続きと責任の所在

質問 13 低圧の個人・中小事業者の意見の聴取経路

小委員会のヒアリング(関係省庁、JPEA、REASP、地方自治体)において、低圧の個人・中小事業者の意見を、どの経路で聴取したかを示されたい。聴取していない場合は、その旨を示されたい。

根拠:資料A p.2、p.19。

質問 14 判断の記録と決定の主体

質問1・6・7に関する各判断(低圧の一律対象外、基準bの採用、災害時供給の除外)について、根拠となった会議資料・検討記録と、決定の主体(会議体または決裁権者)を示されたい。

根拠:資料D p.20、資料A p.4、p.11。

質問 15 対案を採用しない場合の理由

本記事第4節で示した性能基準による対案(①誘発リスク基準、②電気的安全の性能基準、③自立供給能力による類型化)を採用しない場合、国の「一定の考え方」①〜③のいずれを満たさないのかを、対案の項目ごとに示されたい。

根拠:資料A p.4、p.40、p.42。

質問 16 意見公募での考慮結果の公示

2027年2〜3月に予定される意見公募手続において、本質問と同趣旨の意見が提出された場合、行政手続法第43条第1項第4号に基づく「提出意見を考慮した結果及びその理由」を、項目ごとに公示する予定かを示されたい。

根拠:資料A p.20、行政手続法第42条・第43条。

質問 17 事後検証の仕組み

本件の制度変更が既存の適法事業者に不利益を生じさせた場合に、その判断の妥当性を事後に検証する仕組み(検証時期、検証主体、指標)を設ける予定の有無を示されたい。行政手続法第38条第2項が命令等制定機関に求める「規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案」した検討を、どの時期にどの会議体で行うかもあわせて示されたい。

根拠:行政手続法第38条第2項。

7. 利益相反の開示

8. 出典一覧

頁番号は各資料に印字された番号である。資料Dの「別紙」は本文と別に採番されている。

  1. 資料A:資源エネルギー庁「事業用太陽光発電におけるFIT/FIP制度の支援重点化について」総合資源エネルギー調査会 再生可能エネルギー主力電源化小委員会 第5回(2026年9月30日)資料1。PDF
  2. 資料B:同 第3回(2026年7月28日)資料2。PDF
  3. 資料C:大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」(2025年12月23日決定)。PDF
  4. 資料D:調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日)。PDF
  5. 資料E:資源エネルギー庁「入札制・地域活用要件について」調達価格等算定委員会(2026年1月)資料1。PDF
  6. 資料F:法令(e-Gov法令検索)。再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法/日本国憲法/行政手続法/行政機関の保有する情報の公開に関する法律
  7. 資料G:資源エネルギー庁「地域共生型太陽光発電の導入実態等に関するアンケート調査」(回答期限 2026年10月30日)。公開ページ

宛先の確認:再生可能エネルギー主力電源化小委員会の公開ページに記載された問合せ先は「資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 電話 03-3501-1511(内線 4551〜4556)」である(2026年10月13日確認)。