提出した意見の全文。

「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」改定案(JC-STAR★1要件化、e-Gov 案件番号 620340012)に対し、2026年10月8日、株式会社I-S3 代表取締役 益田周防海(Suomi Masuda)の名義で e-Gov の意見提出フォームから提出した意見の全文である。意見は7件、5,768字。該当箇所・意見内容・理由の形で、根拠はすべて公開資料と、2026年7月に受領した資源エネルギー庁・IPA の文書回答に置いた。

益田 周防海(Suomi Masuda)/株式会社I-S3 | 提出 2026年10月8日 | 受付番号 620340012420402491

受付番号 620340012420402491|提出日時 2026年10月8日 10:54|経路 e-Gov 意見提出フォーム|提出者 株式会社I-S3 代表取締役 益田周防海(Suomi Masuda)|意見7件|改定案の丸数字(①②③)はフォームが機種依存文字として拒否するため、本文では(一)(二)(三)と表記している。

他言語版: 日本語 / English / 简体中文 / 再生リスト / 出し方と論点の整理: 意見提出のお願いと手順(締切 2026年11月6日 23:59)

提出した本文

当社は太陽光発電設備・蓄電設備・EV充電設備の設計、施工、保守を行う事業者であり、2026年7月に貴庁電力基盤整備課へ28問、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)へ18問の照会を行い、いずれも文書回答を受領しています(回答原文は https://www.i-s3.com/jc-star-answers/ に公開)。以下の意見は、改定案本文、第13回次世代電力系統ワーキンググループ資料4、貴庁ウェブサイトの「JC-STARのグリッドコード化について」、第20回・第21回グリッドコード検討会資料、および上記回答文に基づきます。なお、改定案の丸数字(丸1、丸2、丸3)は機種依存文字のため、本文では(一)(二)(三)と表記します。

意見1 太陽光・蓄電池の適用範囲を風力と同じ構造にし、「又はこれと同等の機能を有する機器」を全電源種に置くこと

該当箇所: 第2章第1節 5(1)(一)ア(太陽光発電設備及び蓄電設備の適用範囲)、同(二)ア(風力発電設備の適用範囲)

意見内容: (一)アを、(二)アと同じく「ゲートウェイ等のファイアウォール機能又はこれと同等の機能を有する機器」を対象とする構造に改め、ゲートウェイ等の内側に存在する機器については、外部ネットワークから制御点へ到達できない構成であることを別添構成図等で確認する規定とすること。少なくとも「又はこれと同等の機能を有する機器」の文言を(一)ア・(三)アにも置き、IEC 62443 に基づくゾーン分割・導管保護、外部到達不能な通信構成、通信断時の安全側停止を、適合ラベルと等価な適合経路として明記すること。

理由:
1. 改定案は風力にのみ「又はこれと同等の機能を有する機器」を認め、太陽光・蓄電池には認めていない。第21回グリッドコード検討会資料によれば、風力をゲートウェイのファイアウォールに限定した理由は「多くの設備が海外メーカー製」「IP通信を用いる機器が多く、全てを同時にJC-STAR★1対応させようとすると時間を要する」ことであり、風力の方がリスクが低いという評価ではない。供給事情を理由に電源種ごとに要件の構造を変えることは、貴庁が7月30日付回答(Q14・Q18・Q20)で述べた「IoT製品全般に対する統一的な最低限の基準」という要件化の趣旨と両立しない。
2. IPA は2026年7月19日・26日付回答で、「JC-STARは、対象とする『機器』に対して『境界防御』という考えは導入していません」「ラベル取得製品をどの場所に設置するのかによってラベルの効力が変わることはありません」「『適合ラベル取得済み』は、『安全に設置・運用されている』ことではなく…★1で要求する適合要件を有していることを示す」と回答している。製品単体のラベルは、設備が外部から一斉に操作され得る構成かどうかを示さない。系統の安定供給に関係するのは後者である。
3. 改定案の猶予条件(三)は「これらと同等のサイバーセキュリティ対策」を認めており、等価性の概念は改定案自身が既に採用している。既設の猶予期間にのみ等価性を認め、新設には認めない合理的理由は示されていない。

意見2 同一型式・同等機能の機器交換を本要件の対象外とし、接続検討申込みを課さないこと

該当箇所: 第2章第1節 5(2)(既設設備における増設又は機器交換への対応)、および貴庁ウェブサイト「JC-STARのグリッドコード化について」の「同一機器への交換であっても『軽微な変更』とはなりません」の記述

意見内容: 既設の発電等設備において、同一型式又は同等機能の機器に交換する場合は、本要件の対象外とすること。少なくとも、当該交換を「軽微な変更」として扱い、送配電等業務指針第79条第1項第2号に基づく接続検討申込みを課さないこと。

理由:
1. 同一型式の機器への交換は、電圧・周波数・力率・保護協調のいずれにも変化を生じない。本ガイドラインは第1章1で自らの目的を「電圧、周波数等の電力品質を確保していくための事項及び連絡体制等について考え方を整理したもの」と定義しており、電力品質に変化のない交換を接続検討の対象とすることは、ガイドラインの目的規定と整合しない。
2. 接続検討の回答期限は受付から最長3か月である。故障した機器の復旧に、技術的に不要な最長3か月の手続きが挟まることは、発電事業者の損失であると同時に、系統から見ても供給力の回復を遅らせる。安定供給の確保を目的とする改定が、復旧を遅らせる結果を生む。
3. 貴庁は7月30日付回答(Q15・Q17)で、既設設備・経済的不利益への影響評価資料は存在せず「個別事業者さまとの会話の中で検討」「都度協議」と回答している。影響評価のない状態で、全交換案件を接続検討の対象に加える負担の規模は把握されていない。

意見3 「IP通信機能を有するがIP通信を使用しない機器」を対象外とすること。非IP通信による迂回構成との不整合を解消すること

該当箇所: 第2章第1節 5(1)柱書「IP通信機能を有する機器」、第13回次世代電力系統WG資料4 p.6「IP通信機能を具備しておりIP通信の使用を予定していない機器については、IP通信機能を持つ場合はJC-STAR★1の取得が必要」

意見内容: IP通信機能を物理的又は恒久的に無効化し、外部ネットワークと接続しない機器を対象外とすること。あわせて、PCS 等が非IP通信(RS-485 等)で汎用PC・ロガーに接続され、当該機器が外部とIP通信する構成について、要件の適用関係を明記すること。

理由:
1. 貴庁は7月30日付回答(Q2〜Q4)で、Ethernet ポート未結線、設定による無効化、出荷時の恒久無効化のいずれも「対象」と回答し、資料4 もこれを維持している。使用しない機能に適合ラベルを求める規定は、リスクと対策の対応関係を持たない。
2. 一方、非IP通信機器は対象外であり(Q22)、PCS をRS-485 で汎用PCに接続し、PC がLTE 等で外部通信する構成は要件の外に残る(Q12 への回答は「業界団体様・個別事業者様との会話の中で検討」)。外部到達経路を持つ構成が対象外となり、外部到達経路を持たない機器が対象となる。この逆転は、要件が外部からの到達可能性を見ていないことの帰結である。
3. 貴庁は「IP通信とRS-485 等の非IP通信を比較評価した資料」について「グリッドコードにおけるJC-STAR★1取得要件化の観点ではございません」(Q9)と回答しており、対象機器の画定が比較評価に基づいていないことは確定している。

意見4 猶予の判断基準・標準期間・不服申立て先を本文に定め、2026年3月末を基準日とする例示を削除すること

該当箇所: 第2章第1節 5(2)ただし書「過度な負担が生じると属地の一般送配電事業者が認める場合」「一般送配電事業者が指定する様式」「当面の間」、および貴庁ウェブサイトの「過度な負担となる場合」の例示(2026年3月末までの延長保証契約・保有交換製品)

意見内容: (a)「過度な負担」の判断基準と例示をウェブサイトのFAQ ではなくガイドライン本文に置くこと。(b) 様式を一般送配電事業者各社の指定ではなく全国統一とすること。(c)「当面の間」の標準期間を定めること。(d) 了承が得られなかった場合の不服申立て先(電力・ガス取引監視等委員会のあっせん等)を明記すること。(e) 例示中の「2026年3月末まで」を削除し、基準日を本要件の施行日とすること。

理由:
1. 貴庁は7月30日付回答(Q17・Q21・Q27)で、経済的不利益の判断基準・予見可能性・異議申立ての仕組みは「都度協議」、審査実務は「属地の一般送配電事業者にて実施」のため回答差し控え、第三者による検証可能性は「担保する予定はございません」と回答している。改定案はこの裁量に様式を与えたが、基準・期間・救済は依然として書かれていない。基準のない裁量は、一般送配電事業者10社の間で判断が異なる結果を生み、系統連系に係る「透明性及び公平性」(第1章1)を損なう。
2. 改定案は意見公募中であり、施行は2027年4月1日である。確定前の規則を根拠に、2026年3月末という過去の時点を基準日として、それ以降に締結した延長保証契約・確保した予備品を保護の対象から外すことは、事業者が合理的に行う事業継続の判断を遡って不利に扱うものであり、予見可能性を欠く。

意見5 脅威モデル、対象範囲の画定根拠、代替措置との比較評価、期待される効果の評価を、意見公募の結果と同時に公表すること

該当箇所: 第2章第1節 5 柱書「電力システム全体の信頼性および安全性を確保するため、連系される分散型電源において必要なサイバーセキュリティ対策を講じるものとする」、第13回次世代電力系統WG資料4 p.4「インターネット等に直接露出していない場合であっても、IP通信機能を有する以上、外部からの侵入等のリスクが存在」

意見内容: 要件化の根拠となる脅威モデル(想定する攻撃者・経路・対象・影響)、IP通信機能を有する全機器を対象とする画定の根拠、境界防御・IEC 62443 等の代替措置との比較評価、および★1 取得製品の使用によって低減されるリスクの量的評価を、意見公募の結果公示と同時に公表すること。

理由:
1. 貴庁は7月30日付回答で、脅威モデル資料・リスク分析資料の有無への直接回答をせず(Q7・Q8)、代替措置との比較資料は「ございません」(Q14・Q18)と回答している。資料4 の「IP通信機能を有する以上、外部からの侵入等のリスクが存在」という一文は、リスクの経路・大きさ・低減量を示しておらず、比較評価の代替にならない。
2. 同じ一文が正しいなら、風力においてゲートウェイの内側に存在する多数のIP機器も同じリスクを持つ。資料4 は同一文書内で風力をゲートウェイのファイアウォールに限定しており、画定の根拠は文書内で一貫していない。
3. 資料4 が国内の根拠事案として挙げる2024年5月の事案は、監視装置が「サイバー攻撃の踏み台」にされたものであり、メーカーの説明では当該機器は出力制御機能を持たず系統への影響はなかった。踏み台事案への対策(既定パスワードの廃止、インターネット直接露出の禁止、更新の提供)と、PCS・BMS を含む全IP機器への製品ラベル要求との間の論理は、公表資料に示されていない。
4. 本意見公募はe-Gov 上「任意の意見募集」であり、行政手続法第42条・第43条の考慮義務・結果公示義務は条文上及ばない。実効的な規範は一般送配電事業者の約款別冊に置かれ、その認可手続には第三者が意見を述べる定めがない。意見を述べられる唯一の場が本公募である以上、根拠資料の公表は貴庁の説明責任上不可欠である。

意見6 一件の侵害で同時に操作され得る容量(到達容量)に上限を置く規定を加えること

該当箇所: 第2章第1節 5 柱書、および(1)の要件構造全体

意見内容: 一つの認証情報、一つのファームウェア配信系統(同一署名鍵・同一更新経路)、一つの制御面から、遠隔で同時に操作できる発電・充放電容量(MW)に上限を置くこと、または上限値の報告を求めること。製品ラベルの有無に加え、機器が遠隔命令によって到達し得る最低運転点(出力の床)および出力変化率制限の有無を、系統連系時の確認項目とすること。

理由:
1. 電力系統にとっての広域障害は、一台の機器の停止ではなく、同一の命令が同時に多数の機器に届くことで生じる。認証制度は侵害の確率を下げるが、侵害が成立した場合に同時に動く容量を下げない。当社の公開モデル(https://www.i-s3.com/cyber-resilience-der-blast-radius.html 、CC BY 4.0)では、1,000万台×5kW の分散電源に対し、認証による侵害確率の1/10 の低減は、単一制御面・単一ファームウェア系統の構造を変えない限り、負荷遮断以上の事象の年間確率を同じ桁にとどめることを示している。
2. 米国 NERC CIP-002-5.1a は、一つのサイバーシステムが制御する発電容量(1,500MW/3,000MW)で影響度等級を定めており、「資産あたりのMW」で規制する先例が存在する。改定案にはこの観点の語が一つもない。
3. 日本独自の適合ラベルを接続条件とすることで供給者が絞られれば、同一ファームウェア系統に属する容量の集中度は上がる。これは共通原因故障の規模を拡大する方向であり、安定供給の目的に反し得る。到達容量の上限は、この副作用を直接に制御する唯一の手段である。

意見7 一般用電気工作物(低圧50kW未満)への適用について、法令上の根拠と手続の整合を示すこと

該当箇所: 第2章第1節 5(1)(一)イ「低圧に連系するもの:2027年10月1日」

意見内容: 50kW 未満の一般用電気工作物に対し、「電気設備に関する技術基準を定める省令」で義務づけられていないサイバーセキュリティ要件を、一般送配電事業者の約款別冊を通じて事実上義務づけることについて、電気事業法上の根拠と、技術基準ではなく系統連系技術要件に置く理由を明らかにすること。

理由: 資料4 p.2 は、50kW 以上の事業用電気工作物については技術基準省令でサイバーセキュリティ確保が義務づけられている一方、50kW 未満には「明確な技術基準の規定までは存在しない」と述べている。技術基準で課されていない義務を、接続拒否という事実上の強制力を持つ約款別冊で課すことは、本ガイドラインの目的(電力品質)の範囲外であり、法律による行政の観点から説明を要する。

以上
株式会社I-S3 代表取締役 益田 周防海

この全文は記録として公開するもので、複製して提出するためのものではない。行政は同一文面を「同旨」として一件に数える。意見を出すなら、意見提出のお願いと手順を参考に、自分の立場と言葉で書いてほしい。締切は2026年11月6日。

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益田 周防海(Suomi Masuda)/株式会社I-S3。意見公募要領と公開資料に基づく。個別の契約や訴訟の助言ではない。