# ガソリンは軽い。ところで、車の重さは誰が比べるのか
## 燃料と電池を「同じ土俵」に乗せたつもりの比較を、車両システム全体から読み直す

初稿 2026-10-25。本文の数値は同日時点の公開資料に基づき、前提値・計算式・結果はすべて付属資料として公開している（末尾「付属資料」参照）。本稿の風刺の対象は**比較の方法**であり、特定の人物やチャンネルではない。反論は数字で受け付け、いただいた数字はモデルに入れて計算し直す（末尾「反証してください」参照）。

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### 要旨

- ガソリン 1 kg に入っている化学エネルギーは、量産 EV の電池パック 1 kg に入っている電気の **約 80 倍**（低位発熱量 42 MJ/kg ≒ 11.8 kWh/kg に対し、パック 0.15 kWh/kg）。この数字は物理として正しく、本稿はこれを否定しない。
- ただしそれは**貯蔵媒体の性能**であって、**車の性能**ではない。燃料は燃やしてから車輪へ届くまでに 70〜88% を熱として捨てる [S05]。電池は充電ロスを含めても 77% 超が車輪に届く [S06]。比べる範囲を「燃料と電池」から「車と車」へ広げるたびに、倍率は縮んでいく。
- 同じ軽規格・同じ車体寸法の実車（日産デイズ 2WD NA／日産サクラ）を国土交通省審査値で並べると、満タン航続 626 km 対 180 km（**3.5 倍**）、車両重量 850 kg 対 1070 kg（**+220 kg**）はガソリン車の勝ち。1 km あたり投入エネルギー 375 Wh 対 124 Wh（**3 倍**）、1 km あたり燃料・電気代 7.3 円対 3.8 円（**1.9 倍**）は EV の勝ち。「80 倍」はどこにも現れない。
- 「ガソリンは 20 円/kWh、電池は 15,000 円/kWh」という並べ方は、**燃やせば消える消費費**と**一度買って 8 年使う設備費**を、単位が同じだからと横に並べただけのものだ。電池の設備費を保証走行距離 16 万 km の供給電力量で割り直すと **16 円/kWh**、**1.9 円/km** になる。
- 分母と期間を揃えるなら、比べるのは 円/km か、車両価格を含む保有総費用。この 2 台では車両価格＋エネルギー費の累計が約 10.5 万 km で並ぶ（補助金 58 万円込み。補助金なしなら 27 万 km）。これは「EV が得」という結論ではなく、「比べるならここで比べよう」という結論である。
- メーカーを変えても同じ向きになるかを BYD RACCO（22.4 kWh／35.84 kWh）で確かめた。1 km の投入エネルギーはガソリン車が 3.0〜3.1 倍、エネルギー代は 1.9〜2.0 倍で、デイズ・サクラと同じ。電池を大きくした分、航続差は 2 倍まで縮み、重量差は +310〜370 kg に広がる。
- 充電する電気を、FIT 買取期間を終えた自宅太陽光の余剰（売れば 8 円/kWh）にすると、EV のエネルギー代は 1 km 約 1 円。ガソリン車の 7.3 円に対して 7 倍以上の差になり、車両価格差が並ぶ距離は約 5.8 万 km（サクラ）まで縮む。
- ガソリン価格が上がれば、この計算はすべて EV 側に動く。現在の 170.2 円/L は補助金 42.8 円込みで、仮に 220 円なら デイズは 9.5 円/km、サクラとの差は 2.5 倍、車両価格差が並ぶ距離は約 6.5 万 km（余剰太陽光充電なら 4.3 万 km）になる。

## 1. 最初に、ガソリン派が正しいところを認める

会議の冒頭で正しいことを言う人がいる。「ガソリンは 1 リットルで 33 メガジュールある。リチウムイオン電池は 1 キログラムでせいぜい 0.5 メガジュールだ」。これは正しい。拍手していい。

数字を揃えておく。日本の総合エネルギー統計が使うガソリンの標準発熱量は **33.36 MJ/L（高位）** [S01]。エンジンの中で水蒸気が凝縮しないので、仕事に使えるのは低位発熱量で、換算係数は 0.939 [S02]、つまり **31.3 MJ/L ≒ 8.7 kWh/L**。密度を 0.74 kg/L とすると [S03] **42 MJ/kg ≒ 11.8 kWh/kg**。

一方、量産 EV に積まれている電池パックの質量エネルギー密度は、2025 年の実車統計で **LFP 125〜145 Wh/kg、NMC 140〜180 Wh/kg** [S04]。代表値 150 Wh/kg なら 0.15 kWh/kg。割り算すると **78 倍**。体積で比べても、米エネルギー省の資料は「ガソリン 1 ガロンと同じ体積の電池が蓄えられるのは、1 ガロン相当の 15% 程度」としている [S18]。

ここまでは、何一つ間違っていない。問題は、この次の一言で起きる。「**だから** EV は無理がある」。

「だから」の前と後ろで、比べているものが変わっている。前半は燃料タンクの中身と電池パックの中身。後半は車。タンクの中身は走らない。電池パックも走らない。走るのは車である。

## 2. エンジンと変速機は、この会議に呼ばれていない

ガソリン 1 kg に 11.8 kWh のエネルギーが入っていることと、そのうちどれだけが車輪に届くかは、別の話である。

米エネルギー省と EPA が運営する fueleconomy.gov は、ガソリン車について「燃料のエネルギーのうち駆動に使えるのは **12〜30%**、走行サイクルによる」と書いている [S05]。残りはエンジンの排熱、冷却水、摩擦、補機、アイドリングで消える。EV は「系統から取り込んだ電力の **77% 超**」が車輪に届き、この数字には充電時の損失（充電効率 84〜93%）が含まれている [S06]。

\[ W_{\text{wheel}} = E_{\text{stored}} \times \eta_{\text{system}} \]

車輪で使える仕事は、蓄えたエネルギーに**システム効率**を掛けたものである。この式から効率の項を落とすと、燃料 1 kg が電池 1 kg の 78 倍の仕事をするように見える。効率を掛けて測り直すと、 78 倍はおよそ 78 × 0.21 ÷ 0.80 ≒ **20 倍** に縮む。これでもガソリンの勝ちである。ただし、ここからさらに縮む。

### 2.1 貯蔵媒体を積むには、周りに装置が要る

燃料 1 kg を車輪の仕事に変えるには、エンジン・変速機・吸排気系・冷却系・燃料タンク・補機・触媒が要る。電池 1 kg を車輪の仕事に変えるには、モーター・インバーター・減速機・冷却系・パック筐体・BMS が要る。

この「周りに要る装置」の質量を**システム全体の質量**として扱わないと比較にならない、と最初に正面から書いたのが、アルゴンヌ国立研究所の研究者による SAE 技術論文 2016-01-0903 である [P01]。要旨は、電池と燃料の単体比較を「パワートレインの効率と質量を無視した不完全な分析」と呼び、代わりに「同じ有用な仕事（300 マイルの航続と約 300 ポンドの積載）」を達成するパワートレイン全体の質量で比べる枠組みを提示した。報道による紹介では、2016 年時点でもパワートレイン質量あたりの投入エネルギー比は燃料単体の数十倍から **約 10 倍**へ縮み、電池の進歩次第で 2040 年代半ばに車輪での仕事あたり同等になりうるとされている [P02]（この数値は要旨の外の二次情報であり、本稿では確定値として扱わない）。

この論文から本稿が借りるのは、一点だけである。**比べるなら、燃料 vs 電池ではなく、燃料システム vs 電池システム。できれば車 vs 車。** 燃料タンクから車輪までの流れでこの点を追った自社の解説動画もある [V01]。

### 2.2 比べるときの対応表

燃料側と電池側で「同じ役割」の部品を並べると、次の表になる。単体比較は、この表の 1 行目だけを見て、残りの行を空欄のままにしている。

| 役割 | ガソリン車 | EV | 単体比較で抜けるもの |
|---|---|---|---|
| エネルギーを蓄える | 燃料タンク＋ガソリン | 電池パック（セル＋筐体＋BMS＋冷却） | **ここだけ比べている** |
| 仕事に変える | エンジン・吸排気・触媒・冷却・補機 | モーター・インバーター・減速機・冷却 | 質量・体積・効率 |
| 速度を合わせる | 変速機・クラッチ／トルコン | 固定減速（多くは 1 段） | 質量・損失 |
| 減速時 | ブレーキで熱に捨てる | 回生で電池に戻す | 市街地での差 |
| 満タン・満充電の中身の重さ | 走ると減る（27 L ≒ 20 kg → 0） | 減らない（20 kWh ≒ 推計 130 kg） | 電池の正当な弱点 |
| 補給 | 数分・ほぼ全国 | 普通充電で数時間、急速で数十分 | 電池の正当な弱点 |
| 出力 | ピークと連続の差が大きい | 連続定格と最大出力を分けて見る | 両方に注意 |
| 寿命 | エンジン・変速機の整備で延びる | サイクル劣化（保証 8 年 16 万 km など） | 期間の揃え方 |

右端の列に並んでいるのが、「同じ土俵」に乗せたつもりで、実は会議室に持ち込まれていないものだ。エンジンと変速機は呼ばれていない。燃料が減っていくことも議事録にない。「車輪での仕事」は、そもそも議題に上がっていなかった。

## 3. 同じ軽規格で測り直す——デイズとサクラ

言葉で言っていても仕方がないので、同じメーカーの、同じ車体寸法の、同じ年の実車で測り直す。日産デイズ（ガソリン、660 cc NA、2WD）と日産サクラ（EV、20 kWh）である。全長 3395 mm、全幅 1475 mm、ホイールベース 2495 mm は両車同じで [S08][S10]、どちらも軽自動車規格、どちらも 4 人乗り、どちらも日産・三菱の共同開発車種である。「車格・用途・積載・走行条件・性能を揃える」という条件に、国内で最も近い組み合わせだと考えている。

数字は国土交通省審査値（WLTC）を使う。デイズは 23.2 km/L [S07]、タンク 27 L、車両重量 850 kg [S08]。サクラは交流電力量消費率 124 Wh/km、一充電走行距離 180 km、車両重量 1070 kg [S10]。サクラの 124 Wh/km は**充電器の交流側で測った値**で、充電ロスを含んでいる [S19][S20]。デイズの燃料側には精製・輸送のエネルギーを入れていないので、比較は「給油口から車輪まで」と「コンセントから車輪まで」になる。本稿の比較範囲はここまでとする。

| 項目 | デイズ X 2WD（ガソリン） | サクラ S（EV） | ガソリン÷電池 |
|---|---|---|---|
| 車載エネルギー（満タン／満充電） | 27 L × 8.7 kWh/L ≒ **235 kWh**（低位） | **20 kWh** | 11.7 倍 |
| 中身の重さ | ガソリン約 20 kg（走ると減る） | 電池パック 推計約 130 kg（減らない） | — |
| 車両重量 | **850 kg** | **1070 kg** | 0.79 倍（EV が +220 kg） |
| 航続（WLTC） | 27 L × 23.2 km/L ≒ **626 km** | **180 km** | **3.48 倍** |
| 1 km に投入するエネルギー | 1000 ÷ 23.2 × 8.7 ≒ **375 Wh/km**（燃料の化学エネルギー） | **124 Wh/km**（コンセント側） | **3.02 倍** |
| 1 km あたりの燃料・電気代 | 170.2 円/L ÷ 23.2 ≒ **7.34 円/km** | 0.124 kWh × 31 円 ≒ **3.84 円/km** | **1.91 倍** |
| 車両価格（税込） | 1,500,400 円 [S09] | 2,448,600 円（補助金 58 万円で 1,868,600 円） [S11] | 0.61 倍 |

![図1](fig01_boundary_ratios.png)

図 1 の読み方は単純である。左の 2 本は貯蔵媒体の数字で、ガソリンが桁違いに大きい。右の 3 本は車の数字で、倍率は 3.5 倍、3 倍、1.9 倍。しかも 3 倍と 1.9 倍は**向きが逆**で、ガソリン車の方が多くエネルギーを使い、多く払う。

「80 倍」はどこに行ったのか。235 kWh のガソリンを積んで 626 km 走るデイズは、1 km に 375 Wh を投入している。20 kWh の電気を積んで 180 km 走るサクラは 124 Wh。デイズのエンジンは、積んだエネルギーの約 2/3 をボンネットの中で熱にして捨てながら走っている。それが悪いわけではなく、内燃機関とはそういう機械である。悪いのは、その熱を数えずに「80 倍」と言うことだ。

### 3.1 EV 側が本当に負けている項目

ここで「どちらとも言えない」とは書かない。電池側が負けている項目は、負けている。

- **航続**は 3.5 倍の差。サクラは街乗りのために設計されており、高速モードの電費は 142 Wh/km まで悪化する [S10]。毎週長距離を走る人にサクラを薦める記事ではない。
- **車両重量**は 220 kg 重い。20 kg の燃料と推計 130 kg の電池パックの差に、モーター・インバーターと筐体の差が乗っている。しかも燃料は減るが電池は減らない。満タンから空までの平均で見れば、デイズの「中身」は 10 kg である。
- **補給時間**は普通充電で数時間。自宅や職場に充電口がない人にとっては、これが最大の制約である。
- **電池の劣化**。サクラは容量を 8 年 16 万 km 保証しているが [S12]、保証は劣化がゼロという意味ではない。

これらは、エネルギー密度の差が車に**正しい形で現れた**ものである。ガソリン派はここを突けばよい。「80 倍」を持ち出す必要はなかった。

### 3.2 メーカーを変えても同じか——BYD RACCO で測り直す

デイズとサクラは同じ日産の車なので、「日産の設計がそうなだけ」という反論が成り立つ。そこで 2026 年 7 月に発売された BYD RACCO を同じ手順で並べる。RACCO は全長 3395 mm・全幅 1475 mm の軽規格で、電池は LFP（リン酸鉄）、22.4 kWh の「200」と 35.84 kWh の「300Plus／300Premium」がある [S23][S24]。全高 1800 mm のスーパーハイトワゴンなので、デイズ（ハイトワゴン）より車体は一回り背が高く、重量の比較は RACCO に不利に出る。その点を含んで読んでほしい。

| 項目 | デイズ X 2WD | サクラ S | RACCO 200 | RACCO 300Plus |
|---|---|---|---|---|
| 電池／燃料の車載エネルギー | 235 kWh | 20 kWh | 22.4 kWh | 35.84 kWh |
| 航続（WLTC） | 626 km | 180 km | 210 km | 320 km |
| 車両重量 | 850 kg | 1070 kg | 1160 kg（+310） | 1220 kg（+370） |
| 1 km に投入するエネルギー | 375 Wh | 124 Wh | 120 Wh | 124 Wh |
| 1 km の燃料・電気代（31 円/kWh） | 7.34 円 | 3.84 円 | 3.72 円 | 3.84 円 |
| 投入エネルギー ガソリン÷EV | — | 3.02 倍 | 3.12 倍 | 3.02 倍 |
| 車両価格（税込） | 1,500,400 円 | 2,448,600 円（補助金 58 万円） | 2,145,000 円（補助金 15 万円 [S25]） | 2,398,000 円（補助金 15 万円） |

3 台の EV で、1 km の投入エネルギーは 120〜124 Wh、ガソリン車との比は 3.0〜3.1 倍、エネルギー代の比は 1.9〜2.0 倍に収まる。メーカーが変わっても、電池の化学（NMC か LFP か）が変わっても、向きも大きさも変わらない。これは「電気モーターと電池で車を走らせると、燃料を燃やす場合の 1/3 のエネルギーで済む」という物理が、どの会社が作っても同じだからである。

一方で、電池を大きくすると何が起きるかも RACCO はよく示している。300Plus は 35.84 kWh を積んで航続 320 km、デイズとの航続差は 3.5 倍から **2.0 倍**に縮む。代わりに車両重量は 1220 kg、デイズより **370 kg** 重い。エネルギー密度の差は消えていない。航続を伸ばそうとすれば、その分だけ重量に現れる。これが第 1 章で認めた「正しいところ」の、具体的な姿である。

費用の面では、RACCO 200 の補助金後価格 1,995,000 円とデイズの差 49.5 万円を、走行費の差 3.62 円/km で割ると **約 13.7 万 km** で並ぶ。300Plus は差 74.8 万円で **約 21.4 万 km**。サクラより補助金が小さいぶん（15 万円対 58 万円）、並ぶ距離は長い。補助金が車種で違うことも、比較の前提に書いておくべき項目である。

電池の設備費も同じ手順で割り直せる。300Plus のパック 35.84 kWh は BEV 平均の 15,543 円/kWh なら 55.7 万円、LFP 平均の 81 ドル（12,717 円）/kWh なら 45.6 万円 [S16]。保証走行 16 万 km × 0.124 kWh/km ＝ 19,840 kWh で割ると **28.1 円／23.0 円/kWh**（保証条件は 8 年 16 万 km・容量 70% 以上 [S26]）。サクラの 15.7 円より高いのは、大きい電池を同じ距離しか走らせない前提だからで、設備費は使った分だけ安くなる。長距離を走る人ほど大きい電池の設備費が薄まり、短距離しか走らない人には小さい電池が合う。「円/kWh」を設備費として読むと、こういう当たり前の結論が数字で出てくる。

## 4. 「円/kWh」の会計処理——分母の話

さて、もう一つの比較がある。「ガソリンは 1 kWh あたり 20 円、電池は 1 kWh あたり 1 万 5 千円。800 倍だ」。

計算してみる。レギュラーガソリンの全国平均は 170.2 円/L（2026 年 10 月 19 日調査） [S13]。1 L に 8.7 kWh 入っているので **19.6 円/kWh**。BloombergNEF が 2025 年 12 月に発表した BEV 用電池パックの世界加重平均価格は **99 ドル/kWh** [S16]。1 ドル 157 円（日本銀行 2026 年 10 月 23 日 17 時） [S17] で **約 15,500 円/kWh**。割れば **793 倍**。計算は合っている。

意味が合っていない。

### 4.1 分母は同じ顔をしているが、別人である

ガソリンの「円/kWh」の分母は、**燃やして消える 1 kWh**である。払って、燃やして、終わり。電池の「円/kWh」の分母は、**蓄えられる容量 1 kWh**である。払って、充電して、放電して、また充電して、8 年繰り返す。

これは、ホテルの 1 泊料金と、マンションの購入価格を「円/部屋」で比べているのと同じ構造である。マンションは 1 部屋 3,000 万円、ホテルは 1 部屋 1 万円、だからホテルは 3,000 倍安い——そう言われて頷く人はいない。マンションの値段は 35 年住むために払う**設備取得費**で、ホテル代は一晩の**消費費**だからだ。

電池パックの 15,500 円/kWh は、容量 1 kWh を**取得する**費用である。それを**供給する**費用に直すには、寿命中に何 kWh 供給するかで割る。

\[ \text{設備費}_{\text{供給あたり}} = \frac{\text{パック価格} \times \text{容量}}{\text{走行距離} \times \text{電費}} \]

サクラの 20 kWh パックは 15,543 円 × 20 ≒ **31 万円**。保証走行距離 16 万 km × 0.124 kWh/km = **19,840 kWh** を供給する。割ると **15.7 円/kWh**、距離あたりなら **1.94 円/km**。電気代 31 円/kWh と足して 47 円/kWh。ここまで直して初めて、「ガソリン 19.6 円/kWh」と同じ種類の数字になる。

ただし、これでもまだ揃っていない。ガソリンの 19.6 円は燃料のエネルギーで、車輪に届くのはそのうち 12〜30%。電気＋設備の 47 円は 77% 超が届く。車輪での仕事 1 kWh あたりに直すと、ガソリン約 93 円（効率 21% 仮定）、電気＋電池約 58 円（効率 80% 仮定）になる。倍率は 800 倍から **1.6 倍**に縮み、向きが逆転する。

![図2](fig02_jpy_per_kwh_accounting.png)

図 2 のうち、横に並べてよいのは左端（ガソリン・消費費）と右 2 本の和（電気・消費費＋電池設備費の供給あたり換算）である。中央の灰色の棒は、分母の種類が違う。一番高く見えるから、この棒が使われる。

### 4.2 では、どの分母で比べるのか

分母を揃える方法は、3 つしかない。

1. **円/km**：走る距離を分母にする。燃料・電気代だけなら、デイズ 7.34 円/km、サクラ 3.84 円/km。補助金を戻したガソリン価格（約 213 円/L）なら 9.2 円/km。
2. **保有総費用（TCO）**：車両価格・税・保険・整備・エネルギー・残価を、同じ年数・同じ距離で合計する。
3. **寿命中の供給エネルギーあたり費用**：設備費を供給 kWh で割る（4.1 の方法）。電池・太陽光・蓄電池はこの方法で比べるのが普通で、業界では LCOS（均等化貯蔵コスト）と呼ぶ。

本稿では 1 と、2 を簡略にしたものを示す。図 3 は「車両価格＋エネルギー費」の累計で、税・保険・整備・残価・充電器設置費は入っていない（入れるべき項目は第 5 章に挙げる）。

![図3](fig03_vehicle_plus_energy_cumulative.png)

デイズ X（150.0 万円）とサクラ S（補助金後 186.9 万円）の差 36.8 万円を、走行費の差 3.5 円/km で割ると、**約 10.5 万 km** で累計費用が並ぶ。年 1 万 km なら 10 年と少し。補助金がなければ 27 万 km で、普通の乗り方では並ばない。

これは「EV が得」という結論ではない。**比べるならここで比べよう**、という結論である。10.5 万 km という数字は、ガソリン価格・電気料金・補助金・走行距離で大きく動く（`results/sensitivity.csv`）。動くからこそ、動かない「800 倍」より議論の役に立つ。

### 4.3 充電する電気が、売っても 8 円にしかならない場合

ここまでの電気代 31 円/kWh は、系統から買う電気の目安単価である。充電する電気の値段が変わると、EV 側の 円/km は大きく動く。その代表例が、住宅用太陽光の FIT 買取期間（10 年）を終えた家庭である。

FIT 期間が終わると、昼間に余った電気の売電単価は大手電力の基本買取で **7〜9 円/kWh** になる（東京電力エナジーパートナー 8.50 円、関西電力・北海道電力・北陸電力 8 円、東北電力 9 円、中部・四国・九州 7 円） [S27][S28]。この電気を売らずに車へ充電すると、その電気の費用は「売っていれば得られた 8 円」、つまり機会費用になる。31 円で買っていた電気を 8 円の電気に置き換えることになる。

| 充電する電気 | サクラ S | RACCO 200 | デイズ X 2WD |
|---|---|---|---|
| 系統 31 円/kWh | 3.84 円/km | 3.72 円/km | 7.34 円/km（170.2 円/L） |
| 卒FIT 余剰太陽光 8 円/kWh | **0.99 円/km** | **0.96 円/km** | — |
| ガソリン車との比 | 7.4 倍 | 7.6 倍 | — |

![図4](fig04_jpy_per_km_by_charging_source.png)

1 km 約 1 円。ガソリン車の 7.34 円に対して 7 倍以上の差になる。電池の設備費 1.94 円/km（4.1 の方法）を足しても **2.9 円/km** で、ガソリン車の燃料代だけより安い。車輪の仕事 1 kWh あたりに直すと、電気 8 円＋設備 15.7 円を効率 80% で割って約 30 円、ガソリンの約 93 円に対して **3 分の 1** になる。車両価格差が並ぶ距離は、サクラで約 10.5 万 km から **約 5.8 万 km** へ、RACCO 200 で約 13.7 万 km から **約 7.8 万 km** へ縮む。

前提として書いておくべきことが二つある。第一に、昼間に車が自宅にあるか、蓄電池や V2H を介して夜間に移すかのどちらかが要る。平日昼間に通勤で車がない家庭では、余剰を充電に回せる量は週末分に限られる。第二に、8 円は余剰の機会費用であって、太陽光設備そのものの費用ではない。FIT 期間中に設備費の回収を終えた家庭の話であり、これから太陽光を新設する費用を車のエネルギー代に含めるなら、別の計算になる。

逆に言えば、FIT 買取期間を終える家庭は 2019 年以降毎年増え続けており、その家庭にとって「ガソリンの円/kWh は 20 円、電池は 15,000 円」という比較は、充電する電気が 8 円で手に入る現実とも、設備費を供給量で割る会計とも、二重にずれている。

### 4.4 ガソリンが 1 L 220 円になったら

ここまでのガソリン価格 170.2 円/L は、1 L あたり 42.8 円の定額引下げが入った後の値段である [S13][S14]。この措置がなければ約 213 円で、過去の原油高と円安が重なった局面を考えれば、220 円は仮定として無理のない水準である。ガソリン価格が上がると、この章の計算はすべて EV 側に動く。EV の電気代は動かないからだ。

| レギュラー価格 | デイズ 円/km | サクラ（系統 31 円）との比 | サクラ（余剰太陽光 8 円）との比 | 価格差が並ぶ距離（サクラ・補助金後／なし） | 同（余剰太陽光で充電） |
|---|---|---|---|---|---|
| 170.2 円（現在・補助金込み） | 7.34 円 | 1.9 倍 | 7.4 倍 | 10.5 万 km／27.1 万 km | 5.8 万 km |
| 213 円（補助金なし） | 9.18 円 | 2.4 倍 | 9.3 倍 | 6.9 万 km／17.8 万 km | 4.5 万 km |
| **220 円** | **9.48 円** | **2.5 倍** | **9.6 倍** | **6.5 万 km／16.8 万 km** | **4.3 万 km** |
| 250 円 | 10.78 円 | 2.8 倍 | 10.9 倍 | 5.3 万 km／13.7 万 km | 3.8 万 km |

220 円なら、デイズは 1 km 9.48 円。サクラとの差は 1 km 5.6 円に広がり、車両価格差 36.8 万円が並ぶ距離は 10.5 万 km から **約 6.5 万 km** に縮む。年 1 万 km なら 6 年半で、電池の保証期間 8 年の内側に入る。余剰太陽光で充電している家庭なら約 4.3 万 km。補助金なしの価格差 94.8 万円でも 16.8 万 km で並ぶ。RACCO 200 は補助金後で約 8.6 万 km になる（`results/gasoline_price_scenarios.csv`）。

「円/kWh」で見ても同じで、220 円のガソリンは燃料 1 kWh あたり 25.3 円、車輪の仕事 1 kWh あたり約 120 円になる。電気＋電池設備の約 58 円（系統）、約 30 円（余剰太陽光）との差は、170 円のときより開く。

逆向きに動く変数も書いておく。電気料金が上がれば EV 側が不利になり、31 円が 45 円なら サクラは 5.6 円/km で、170 円のガソリンとの比は 1.3 倍まで縮む（`results/sensitivity.csv`）。燃料と電気のどちらの値段が先に動くかは、この記事では予測しない。言えるのは、どちらが動いても「80 倍」「800 倍」は一切動かず、円/km と並ぶ距離だけが動くということである。動かない数字は議論の役に立たない。

## 5. 正当な反論と、その扱い

公平を期すために、本稿の比較に対して成り立つ反論を先に並べておく。「どちらとも言えない」で逃げるための留保ではなく、計算に入れるべき項目の一覧である。

- **電気料金 31 円/kWh は安すぎる／高すぎる**。家電公取協の目安単価は全小売事業者の販売実績から出した平均で [S15]、夜間プランならもっと安く、急速充電器の従量料金ならもっと高い。前提値の幅を 25〜45 円として、結果がどれだけ動くかを別途計算している。
- **ガソリン 170.2 円は補助金込み**。2026 年 10 月第 4 週の定額引下げは 42.8 円/L [S14]。暫定税率は 2025 年末に廃止されたが [S22]、現在の価格は財政措置で支えられている。EV の補助金 58 万円と同じく、どちらも税金である。本稿は両方を明示し、両方を外した場合も計算した。
- **電池パック 99 ドル/kWh は OEM の調達価格**。ユーザーが修理で払う交換価格はこれより高い。4.1 の 15.7 円/kWh は「製造時に車両価格へ含まれている設備費」として読んでほしい。
- **実走行は審査値より悪い**。両車ともそうで、寒冷地の暖房は EV 側に不利、渋滞は ICE 側に不利に働く。不利の方向が逆なので倍率は大きくは動かないが、絶対値は動く。
- **TCO に入れていない項目**：自動車税（EV は軽減措置あり）、オイル交換・消耗品、充電器の設置費、電池劣化による残価の差、保険料。これらは入れるべき項目で、本稿の図 3 はそれらを入れる前の下書きである。
- **デイズとサクラが完全に同条件ではない**。最高出力は 38 kW 対 47 kW、車両重量は 220 kg 違う。「同じ車格」であって「同じ車」ではない。ただし、燃料と電池を同じ土俵に乗せたいなら、国内でこれ以上条件の揃った組み合わせは少ない。
- **RACCO はスーパーハイトワゴンで、デイズより車格が上**。全高 1800 mm のスーパーハイトワゴンで、ホイールベースも 2520 mm 対 2495 mm と長い。重量差 +310〜370 kg のうち一部は車体の大きさによるもので、電池だけの差ではない。背の高いガソリン軽（ルークス等）と並べれば重量差は縮む。1 km の投入エネルギーとエネルギー代の比較には、この車格差はほとんど効いていない（120〜124 Wh/km は 3 台で揃っている）。
- **余剰太陽光 8 円/kWh は全員に使える前提ではない**。卒FIT の家庭で、昼間に充電できるか、蓄電池・V2H を持つ場合に限る。系統で充電する人の数字は 31 円の列を読んでほしい。

逆に、成り立たない反論も一つ書いておく。「電池のエネルギー密度は低いままだから EV は普及しない」。密度が 80 分の 1 でも、同じ寸法の軽自動車が 180 km 走って 1 km 3.8 円で動いている。密度は普及を左右する条件の一つであって、それだけで普及の可否が決まるものではない。密度が低いせいで航続が短いのは本当だが、航続が短くても成り立つ用途があるかどうかは、密度の数字からは分からない。

## 6. なぜこの比較は繰り返されるのか

誰かの動機を決めつけるつもりはない。構造だけ書く。

第一に、**単体の数字はすぐ手に入り、システムの数字は手に入りにくい**。ガソリンの発熱量は便覧に載っている。電池セルの Wh/kg はカタログに載っている。エンジン込みのパワートレイン質量や、走行サイクル別の効率は、論文か試験成績書を読まないと出てこない。手に入りやすい数字同士を割ると、簡単に大きな数字が出る。

第二に、**セルとパックが混ざる**。セル単体の Wh/kg は、筐体・配線・冷却・BMS を含むパックの Wh/kg より必ず大きい [S04]。両方とも正しい数字だが、電池側にセルの値、燃料側にタンク込みの値を使うと、倍率は数割動く。本稿はパックで統一した。

第三に、**Wh/kg と Wh/L が混ざる**。質量あたり（specific energy）と体積あたり（energy density）は別の量で、LFP は NMC に対して質量で 1/5、体積で 1/3 不利と、差の出方が違う [S21]。どちらで語っているかを言わずに「エネルギー密度」とだけ言うと、聞く側が確認できない。

第四に、**消費費と設備費が混ざる**。第 4 章で見た通りである。「円/kWh」という単位は両方に使えてしまうので、単位だけ見ると同じものに見える。

第五に、**大きい数字は気持ちがいい**。78 倍、800 倍。これに対して「1.9 倍、ただし向きが逆」は地味である。地味な方が正しいとは限らないが、この件に関しては、地味な方が車の話をしている。

繰り返すが、これは誰かが嘘をついているという話ではない。式の項を一つ落とすと、落とした本人も気づかないまま、答えが 40 倍ずれる、という話である。

## 7. 結論

- ガソリンのエネルギー密度が電池より桁違いに高いのは事実で、車の航続と重量にはその差が現れる（3.5 倍、+220 kg）。ここは電池側が負けている。
- しかし密度は貯蔵媒体の性能で、車の性能ではない。車で比べると 1 km あたりの投入エネルギーはガソリン車が 3 倍多く、エネルギー代は 1.9 倍高い。「80 倍」は車のどこにも現れない。
- 「燃料の円/kWh」と「電池の円/kWh」は消費費と設備費で、分母が別人である。電池の設備費を供給電力量で割ると 16 円/kWh、1.9 円/km。800 倍は、会計の手続きを踏むだけで消える。
- 比べるなら、同じ車格・同じ用途・同じ期間で、円/km か保有総費用。この 2 台では車両価格＋エネルギー費の累計が約 10.5 万 km（補助金込み）で並び、補助金なしなら並ばない。この数字は前提で動くので、動かし方ごと公開した。
- メーカーを変えても（BYD RACCO）、1 km の投入エネルギーは EV の約 3 分の 1、エネルギー代は約半分で変わらない。電池を大きくすれば航続差は 2 倍まで縮み、重量差は 370 kg に広がる。密度の差は消えないが、現れる場所は決まっている。
- 充電する電気が卒FIT の余剰太陽光（売れば 8 円/kWh）なら、EV のエネルギー代は 1 km 約 1 円で、ガソリン車の 7 分の 1。車両価格差が並ぶ距離は 5.8 万 km まで縮む。昼間に充電できる家庭に限る前提付きで、これも「比べるならここで」の一つである。
- ガソリンが 1 L 220 円になれば、並ぶ距離は 6.5 万 km（年 1 万 km なら 6 年半）。燃料価格が動けば円/km と並ぶ距離が動き、「80 倍」「800 倍」は動かない。動かない数字は議論の役に立たない。
- エンジンと変速機を会議に呼ぶこと。燃料が減ることを議事録に書くこと。分母の中身をよく見ること。それだけで、この議論の 8 割は終わる。

## 8. よくある質問

### ガソリンの方がエネルギー密度が高いというのは、本当ですか

本当です。質量あたりで約 80 倍（低位発熱量 42 MJ/kg ≒ 11.8 kWh/kg に対し、EV 用パック 0.15 kWh/kg）、体積あたりでも 6〜7 倍の差があります [S01][S04][S18]。この記事はこの数字を否定していません。否定しているのは、「だから車もそうだ」という飛躍のほうです。

### では、なぜ EV の電費やエネルギー代はガソリン車より良くなるのですか

燃料のエネルギーの大半が、車輪に届く前に熱として捨てられるからです。ガソリン車は燃料エネルギーの 12〜30% しか駆動に使えず [S05]、EV は充電ロス込みで 77% 超が車輪に届きます [S06]。同じ軽規格の実車で 1 km あたりの投入エネルギーを比べると、デイズ 375 Wh、サクラ 124 Wh（コンセント側）で、ガソリン車が約 3 倍多く使います [S07][S10]。密度の差は航続距離と車両重量に現れ、効率の差は電費と走行費に現れます。両方を見て、初めて車の比較になります。

### 「ガソリンは 20 円/kWh、電池は 1 万 5 千円/kWh」という比較のどこが間違っているのですか

分母の種類が違います。ガソリンの 1 kWh は燃やして消える消費費、電池の 1 kWh は蓄えて何千回も使い回す容量の設備取得費です。電池の設備費を寿命中の供給電力量で割ると、サクラの例で 20 kWh × 15,543 円 ≒ 31 万円 ÷（16 万 km × 0.124 kWh/km ＝ 19,840 kWh）＝ 15.7 円/kWh、距離あたり 1.94 円/km になります [S10][S12][S16]。これに電気代を足し、さらに両者の変換効率で車輪側に揃えて、初めて同じ種類の数字になります。充電する電気が卒FIT の余剰太陽光（売電 8 円/kWh）なら、電気 8 円＋設備 15.7 円を効率で割った車輪側の費用は約 30 円/kWh で、ガソリンの約 93 円の 3 分の 1 です [S27]。

### 公平に比べるには、何を見ればよいですか

同じ車格・同じ用途・同じ走行条件の実車 2 台を、円/km か、車両価格・税・保険・整備・エネルギー・残価を同じ年数と距離で合計した保有総費用で比べてください。航続・補給時間・積載・重量は別の軸として並べ、一つの倍率にまとめないでください。メーカーが違う車（BYD RACCO など）を加えると、結論が車種固有のものかどうかも確かめられます。ガソリン価格・電気料金は動くので、現在値だけでなく、たとえばガソリン 220 円/L、電気 45 円/kWh のように動かした場合も一緒に見てください。この記事の付属資料には前提値（LOW/BASE/HIGH）と計算モデルがあり、ガソリン価格・電気料金・電池価格・走行距離を書き換えると結果が再計算されます。

## 反証してください

本稿の数字はすべて `data/assumptions.csv` に出典付きで置いてあり、`model/vehicle_system_model.py` で計算し直せる。異なる前提（別の車種の組み合わせ、別の電気料金、パック交換の小売価格、充電器の設置費、残価）をお持ちであれば、[お問い合わせ](https://www.i-s3.com/contact.htm)から数字を送ってほしい。モデルに入れて計算し直し、結果が変わればこの記事に追記する。「エネルギー密度が 80 倍だから」という反論には、第 2 章と第 3 章ですでに答えている。
